[2]B 減価償却の実施
減価償却とは、固定資産を使用することに伴い価値が減少するので、規則的に固定資産の期末の価額を減らす手続きです。資産の貸借対照表価額は、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とするとされており(20年基準 第2-3(5))、この「減価償却累計額」を本体の取得価額から控除するか別掲表記するかによって、直接控除法と間接控除法の2種類があります。
20年基準では、複数の会計区分で共用して使用している固定資産は、一つの固定資産であっても各会計別に帳簿価額を分割してバラバラに表示することが原則となります。減価償却費についても各会計区分別に配賦した金額を、それぞれ会計区分ごとに個別に計上した方が適正な貸借対照表価額を作成できることとなります。(つまり減価償却費を法人会計などに一括計上して、後からその減価償却費を配賦する方法を採用すると、減価償却累計額も特定の会計区分にいったん計上して後から配賦する作業が必要になり、結局二度手間になります。)
【仕訳例:共用で使う備品の減価償却費1,000円を計上する。ただし使用割合は公益目的事業60%、収益事業等30%、管理業務10%とし、直接控除法である。】
(公益目的事業会計) (借)減価償却費600/(貸)器具備品600
(収益事業等会計) (借)減価償却費300/(貸)器具備品300
(法人会計) (借)減価償却費100/(貸)器具備品100
なお指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産について、減価償却を行った場合には、当該減価償却費の額を指定正味財産の部から一般正味財産の部に振替なければなりません(20年基準 注15)。
【仕訳例:公益目的事業の用に供する寄贈建物(特定資産)について、減価償却費を計上する。】
(公益目的事業会計) (借)減価償却費×××/(貸)特定資産−建物×××
(公益目的事業会計)
(借)一般正味財産への振替額(指定)×××/(貸)受取寄附金(一般)×××