T−2 収支相償が不適合でも認められる限度
収支相償を満たせなかった法人のうち、相当数が公益目的事業会計の当期経常増減額の計算で生じている剰余金を、翌年度に繰り延べる方法を採用していると思われます。この方法を採用する場合の注意点は、次のとおりとなります。
@事業報告等に係る提出書類 別表A(1)に、公益目的事業会計の当期経常増減額の計算で剰余金が生じた理由とその処分方法を記載します。
【別表A(1) 収支相償の第1段階 剰余金の発生理由と計画の記載例】
理由: ○月に開催したシンポジウムの参加者が想定を上回り、受講料収入が増加した。
計画: 翌年度に調査研究事業の事業拡大で職員採用を予定しており、これに充当する。
A翌年度に剰余金を使用するには、原則として翌年度の収支予算書の当該事業の当期経常増減額が赤字であり、その赤字が前年度に発生した剰余金の額を上回っていることが必要です。
この方法の問題点として、すでに収支予算書を作成していることが挙げられ、その収支予算書に記載された翌事業年度の公益目的事業会計の赤字額が足りないことが考えられます。収支予算書は事業年度開始の日の前日までに行政庁に提出する義務があります。すなわち、予算事業年度の収支予算書は、決算事業年度が終了する時点ではすでに提出しています。このため、必要に応じて、決算書を承認する理事会等において、予算事業年度の収支予算書について見直しを行わなければなりません。ただしこの場合は、変更後の収支予算書を行政庁に提出する義務はありません。
さらに、事業年度終了後3カ月以内に行う決算確定時までに剰余金の(翌年度における)使用計画を立案し、理事会等で決定を行うことが現実的に難しい場合は、剰余金の使い道をしっかり検討し、Bのように翌々年度までかけて剰余金を使用することも可能です。
B翌々事業年度までかけて剰余金を使用する方法 :次のイ〜ハを前提に認められます。
イ 別表A(1)の「※第二段階における剰余金の扱い」欄に次の事項を記載します。
・発生した剰余金が翌事業年度で適切に費消することのできない特別の事情や合理的な理由
・剰余金の解消計画立案のための検討のスケジュール
ロ 翌事業年度末までに提出する「翌々事業年度の事業計画提出書」に次の書類を添付します。
・理事会等で決定された剰余金の解消計画
ハ 翌々事業年度の事業報告提出書において、次の事項を添付資料等で説明します。
・剰余金が解消計画に従って解消されたか否か
・資金の使い道
なお各事業年度の貸借対照表において、当該剰余金に見合う資金を特定資産として表示します。