U−4 公益目的保有財産(金融資産)を積立てる方法
公益目的事業会計の当期経常増減額の計算で生じた剰余金のうち、当該決算年度において公益目的事業に運用益を使用する長期保有財産のため積立てた金額が、収支相償の第2段階の計算上費用として認めらるのは、ごく限られた場合になりました。次の4条件を満たす必要があります。
(1)事業拡大に関して、実物資産ではなくて金融資産を取得して業務を拡大する必要性が明確なこと
(2)事業拡大の内容が具体的になっており、それが事業計画等として法人において機関決定等(理事会等の承認、決定)を受けていること
(3)運用する金融資産について、その内容及びこれから生じる運用益の見込額が妥当であること及び運用益が事業拡大の財源として合理的に説明できるものであること(事業拡大に伴う費用と運用益のバランスが適当であること)
(4)その他、事業の財源として、剰余金を用いることについて望ましい理由があること
この方法を利用することは困難ですが、活用する場合は次の点に留意する必要があります。
@積立資産は、基本財産又は特定資産でなければなりません。決算によって公益目的事業の剰余金が生じることが判明した時点で、事後的に公益目的保有財産に積立てる場合には、当該決算において当該額を流動資産から基本財産又は特定資産に振替えることとなります。
A公益目的保有財産の購入額は、収支相償の第1段階の計算上は費用として計上できません。
・収益事業等の利益の50%超を繰り入れる場合は、収支相償の第2段階で、積立額が費用として計上されます。
・収益事業等の利益の50%を繰り入れる場合には、別表A(1)において下記のような記載をした場合には、収支相償の第2段階は満たされているものと扱われます。
【別表A(1) 収支相償の第2段階 今後の剰余金の扱い等の記載例】
公益目的事業会計全体で剰余金が生じているが、当該剰余金相当額を公益目的事業基金(運用益を公益目的事業の用に供する特定資産)に積み立てしている。
B公益目的保有財産である基本財産又は特定資産への積立は、原則として取崩しが認められません(内閣府FAQ X−4−F)。